夢幻の姫君
「だ、だれ……?」

健人以外この部屋に来ないので、クーは久しぶりにびっくりした。
 口をパクパクさせている。

そんな様子を見て笑っている13.4歳の少年。

「ぶはっ」

ついに噴いてしまった。
 クーはその光景に唖然。 気にせず少年は笑っている。

「クー、遅くなり…うおっ」

そこに健人登場。わけが分からないまま数分が過ぎた。

「ま、真琴。何で笑ってんだお前…?」
「いや… ククッ 面白くて…」
「高杉。誰?」

クーの言葉に健人はその少年にまだ言ってなかったのかよ~。と言ってから紹介した。

「こいつは、真琴。俺の息子」
「はぁ!? ……似てないし」

ついつい普段出さない口調が出てしまい、健人は“えっ”と驚いている。
 そんな健人をおいといて、真琴は続ける。

「母親似なので。俺のことは真琴と呼んでください」
「敬語。苦手なら、やめてもいいよ」
「じゃぁ タメで」

真琴はニコッと笑って言ってくれた。それがうれしくて、クーもニコッと笑う。

 その瞬間、真琴は顔を赤くしながら顔を背け、健人は苦笑いしている。
そこで、健人が息子にこそっと言う

 「手、だすなよ?」

父にはお見通しらしい。真琴は父をにらみ続け、クーは不思議がっていた。
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