夕陽


「これは壬生浪士組のためには仕方のない
ことなんや。当然土方はんだって
近藤さんだって辛いのはアンタにも
わかるはずやろ?
だから黙って見逃すのが、
親切ってモンや。
わからんか?アンタには。」

そういって智咲の口から手が外される。

「・・・。
でも、誰・・・
ってあ。大阪の時の!!」

「あぁそうや。覗きクンや。
覚えてまっか?」

智咲の顔がどんどん赤くなっていく。


「あのときの・・・
なんで覗いてたのよ?!
別にさぁ?!天井から現れなくても・・!」


「あんときはびびったでぇ?
すぐばれたんやもんなぁ?
なんで知ってたんや?」

「こっちのセリフ!
なんで覗いてたのよ!
このド助平がァァァァァァ!」


「ちょっ!土方はん気づいてまうがな!」

「へ?!あっ!ちょ!」


スーー。

襖があいた。

「誰かいるのか?
騒がしい・・っていない?」

「トシ。気のせいではないか?」

「・・そうだな。」

スーー。

襖が閉まる。


「・・む、むぅ!
こ、ここどこ?!」

「天井裏や。上ったことないか?」

「あるかい!」

智咲と男は間一髪で、
上に上がっていた。


「っていうか、誰?」


「山崎烝や。
しらんか。」


「ってえ?!
あの監察の?」

智咲は目を見開く。

「はぁ?やっぱ未来からきたんか。」
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