夕陽


「こんちくしょうめ山崎ぃ・・・。
っていうかなんで監視されてんの?あたし・・・。」

そういって部屋に戻っていく。

「そ!そういえば芹沢さん・・・暗殺。」

このことは口にしちゃだめだ、と口を噤む。



壬生浪士組にしたらあたしがいる自体で歴史が変わってしまう。
芹沢さんが暗殺されるから新撰組が出来るんだ。あたしは何もしちゃだめだ・・・。


智咲は色々考えているうちに部屋に戻っていた。

スーー。

「あ、総司さん」

「どうしたんですか?そんな浮かない顔をして。」


そんなに顔に出てるんだぁ。私。


「総司さん。あたしが今やっていることは、正しいのかな?わからなくなっちゃった。」

智咲はえへへ、と空笑いする。

「わかりません。今やっていることは、自分で全部決めてやっているんです。正しいとかはないんじゃないですか?」

沖田はそういって微笑む。


「あはは。ありがとうだぁ。あたし、この先どうなるか分かるのに。
何をすればいいか分かんないよ。
結局歴史を変える度胸も勇気もない。
かといってこのまま見過ごすのも人が死ぬのも嫌。自分が何がしたいのかも分かんない。
臆病で弱虫な自分が嫌だよ。」


智咲は下を向く。


沖田はそんな智咲を優しく抱きしめた。


「?!」

「大丈夫です。智咲さんは弱虫でも臆病でもありませんよ」

ポンポンと優しく智咲の背中を叩く。

「っふぅ。っふぇぇ。
うあぁぁぁぁっ!」


それに安心したのか、智咲は泣き始めた。

「ど、したらいいかわ、っかんない!でも!もっ、何もかもが嫌になる!!うあぁぁぁぁっん!」


「大丈夫です。余計なことは考えなくっていいんですよ。」


「うっ、ぐすん。ひっ!」

次第に泣き疲れた智咲は眠っていった。
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