夕陽
「分かりました。
あの、それで芹沢さんは・・・?」
智咲はいやな予感がするのを感じながら聞く。
「お墓は今朝、つくられました。
行きますか?」
つらそうに沖田は言う。
「は、か?墓?死んだの?
そ・・・んな、嘘?
だって・・・な、んで?暗殺?近藤派に?
そ、じさん?総司さん何か知ってる。そうだよね?だって近藤派だもん!だって・・・?」
智咲は混乱状態になりながらも沖田に縋る
「・・・。智咲さんは未来からきたんですよね?
そしたらこのことは知っている筈ですよね?
今の時代は歴史通りですか?」
苦笑いしながらも沖田は智咲の期待を砕く。
「は、はは。
分かってるのに。何してるんだろうね?あたしは。
ここの時代のことしってるハズなのに、今更何も出来ないなんてね?」
智咲は空笑いする。
「じゃあ、わたしはこれで。」
沖田は申し訳なさそうに部屋を出る。
「・・・・。仕事、しなきゃ。女中だもん。でも体が動かないよ。芹沢さん。
・・・・夢ならいいのに。
もう一度。一回だけでいいから。私の前で笑って見せてください。
芹沢さん」
かすれかすれの声で呟きながら沖田から受け取った手紙を開ける。
--智咲--
おぬしがこの文を読んでいるときはわしはもういない。
だがわしが死ぬことも壬生浪士組には必要なこと。
わしは壬生浪士組を近藤に託す。
短い間だったがおぬしが老いぼれになってまたわしと会えること、楽しみにしている。
未来から来たおぬししか出来ない事もあろう。
おぬしも壬生浪士組の為に尽くしてくれること、願っている。
芹沢鴨
「・・・あたしの、出来ること・・・?
芹沢さんみたいな犠牲者を出さないこと。
がんばる。
頑張るよ!だからそこで見ててくださいね?
芹沢さん。お梅さん。」