夕陽



藤堂が智咲の笑顔に見とれたのもつかの間。
智咲が藤堂の襟首を掴み、部屋を出て行く。



「え!う、うんってちょっ!
引きずってる!引きずってるよ?!
ちょ?!離してよ!自分で歩く!
自分で歩けるから!」

藤堂はじたばたと暴れるが、やっぱり離してもらえずに
智咲の部屋へ到着した。


「さぁ!一緒に女装ごっこしよう?!
逃げようたって無駄だよ?もう服やお化粧の準備は
万端だから!あー。髪の毛長いなぁ。
でも1つ縛りって微妙だしなぁ・・・?
んー。ツインテールでいっか。
あ、あたしもそうしよ!」


そういって藤堂の結ってある髪を解き、
2つにして高めに結いなおす。
自分のも。


「いやだって!今でさえ女子疑惑が浮かんでるのに
そんなことしたら絶対に誰かに襲われる!
嫌だって!え?!何?!脱がさないで!
ちょ!智咲って女の子だよね!!
ってえ!鼻息荒くね?!
きぁーーーーーーーーーー!!!」

屯所内に藤堂の断末魔が響いた。


一刻経過・・・



すちゃっ!

ツインテールにした藤堂の頭に白色の猫耳をかぶせる。


「はい完成!
もぉー。平助ったら暴れるから
時間かかったじゃないの!
えへへー。我ながらいい出来だよ!
くぁわいいー。」

もう智咲は藤堂にデレデレだ。


「ちょっ!そんなに見つめないでよ?!
恥ずかしいったらないんだけど?!」

藤堂の顔は最早真っ赤だ。


「へ・・・っ!平助・・・!や・ら・な・い・k」

「嫌だよ」


藤堂は智咲を汚物を見るような目で見る。

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