夕陽
路地裏に入るなり、栄太郎は刀を抜く。・・・刀身が、蒼い。
思わず魅入ってしまう。
「ん?この刀見てるの?これも妖刀だよ。『朝陽』別名蒼空。まぁ智咲のと同じようなものだよ。ま、見ててよ。」
そう言って自分の腕を深く切る。血が溢れ出す。
「・・・?!治らない。なんで?鬼じゃないの?」
「だからぁ。見ててよって!」
言い終える後、自分の心臓のある場所を思い切り刀で貫いて引き抜く。栄太郎は口から血を吐く。
「・・・・・!!!何して・・・」
「大丈夫だって。」
すぐに駆け寄る。
だが、いつの間にか心臓の傷は治っていて。
「・・・え?」
「だから大丈夫っていったろ。死んでも死なないってこういうこと。分かった?」
「一応・・・。」
「んで。本物の鬼になるつもりはある?」
「・・・これで総司さんの病が治るなら、何にでもなる。」
栄太郎は怪訝何顔をする。なんで?
「なんで人一人の為にそこまでする必要がある?」
「・・・わかんないよ。なんで自分がここまで出来るのか。でも多分、総司さんの為なら死ぬことも出来ると思う。・・・何でだろうね?」
一生懸命微笑む。ひきつり笑いになってるかも。
「・・・ふぅん。わかんないんだ?ま、いつか気付くでしょ。協力はするつもり、ないけど。」
嫌々しい笑みを浮かべる。あたしは苦笑い。