夕陽


「・・・やめろ。」


微かに総司さんが呟く。

「でも認めきれなくて。智咲は自分の病を治すため、永遠の孤独と引き換えに不治の病を治す血を手に入れた。自分の為だけに。どうしようもなく不甲斐なくなってどうしようもない絶望感に苛まれた。違う?」


「・・・。やめろ」


肩を震わせ、総司さんが呟く。

こんなのになったのも、私のせいだ。


「・・・ごめんなさい。最初から対処してれば、こんなこと、ならなかったのにね。だから、今できる最も有効なことをする。」


「・・・もう、遅いですか?智咲さんはもう、もとに戻れませんか?」


縋るように総司さんは言う


「・・・無理だ。こいつはもう、本物の鬼だ。戻すことは出来ないよ。」


隣にいた智咲の首筋を指差す。


そこには、痛々しげな黒い刻印があった。先程、栄太郎が噛んだときに出来たものだろう。

総司さんは悲しそうな顔をする。



「・・・私は後悔はしてないよ。なりたくてなったから。総司さん、屯所に戻ろう?」


無理矢理総司さんの手を引いて、屯所に向かう。

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