夕陽




すー。

「失礼します」


「コラァァァァ!勝手に部屋入るな!何回言えば・・・なんかあったのか?」


魂の抜けたような総司さんと、悲しそうな顔をした智咲。


智咲は順を追ってすべてを話し始める。



「・・・私のやったことは、間違っていたんでしょうか。」


「まぁ、間違ってるいないは誰も決めることはできねぇ。だからそういうことは気にしなくていい。・・・おい、総司。」



「・・・」


少しの間沈黙。


「返事しろ」


「・・・なんですか」

やっと絞り出したような声。


「・・・智咲。総司と二人にしてくれねぇか」


「・・・わかりました」


そう言って土方の部屋から出て行く。そして自室に戻る。




一人でいると、不安と孤独で押しつぶされてしまいそう。


全身鏡で栄太郎がつけた『鬼の刻印』を見る。忌々しい程しっかりと刻まれている。


わたしのせいで、総司さんが抜け殻みたいになった。・・・私の、せいで。


『夕陽』を見る。
・・・本当に、死なない体になったのだろうか。


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