夕陽


・・・・・・・・・・・・・


「・・・私は、死ねるのかな。」

ゆっくりと刀に手を伸ばし、しっかりと刀を握り締める。

刀を首もとに当てる。
少し刀が当たって、首筋から血が伝う。


チクリ、と僅かな痛みが走る。



スー。

襖の開く音。


「・・・何を、やっているんですか。」



「・・・総司さん、ですか?」


音のするほうへと問い掛ける。今の表情は見せたくないので振り向かない。



「・・・何をしているか聞いているんです。」



「・・・本当に死なない身体になったのかなって。幻滅した?まだ分からないのに、死なないからだになってないかもなのに、こんなことして。」


声が震える。


「・・・こっちをちゃんと私の目を見て言ってくださいよ。」


「やっぱり、嫌だよね。こんな自分から人であることを棄てた奴なんて」

わたし、絶対汚い顔してる。涙でぐちゃぐちゃの顔。


カシャン、と刀が音をたてて畳の上に落ちる。



気付いたら、総司さんにぎゅって抱きしめられていた。・・・暖かい。


「・・・こっちを、みてくださいよ。嫌ですか?私のこと、嫌いになりましたか?」


「・・・そんなことっ!」


振り向いて総司さんの言ったことを否定する。


「・・・やっと、見てくれました」

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