夕陽



「・・・!!見ちゃ駄目!こんな顔見せたくないぃ!」


両手で顔を隠す。



「や、です。可愛い顔してるじゃないですか」


顔を隠している両手を総司さんが掴む。


「駄目ぇ・・・。可愛い訳、ない・・・。き、嫌いにならないでよ・・・」


涙声なので、聞き取りにくい。


「嫌いになるわけ、ないじゃないですか。なんで嫌いになるのか、わかりません。」


そう言って先程切れた首筋の切り傷に口付けをした。


「・・・本当・・・?」


顔をあげてから言う。


「当たり前です。智咲さんが死ぬまでずっと一緒にいることは、駄目ですか?例え200年経っても、一万年経っても。智咲さんの為に死ねるなら本望です。」


「でも、総司さん鬼じゃない・・・」


「意地でも生きて見せます。」


「・・・えへへ。ありがと。」


にこり、と笑う。
総司さんは顔が赤くなる。なんで?
あ、総司さんに血を飲ませなきゃ。


「・・・えと、その・・・不味いかもだけど、血・・・飲んで?」


そっと首筋を指差す。


「わかりました。」


くす、と微笑んで首筋を噛む。


「ぁ・・・ぅ。」



ドクンドクンと鳴る自分の心臓の音がもどかしい。総司さんの息が首筋に掛かってくすぐったい。
顔が真っ赤になるのがわかった。


「そ・・・じさん・・・も、ぅだめ」


恥ずかしさの限界で、心臓が破裂しそうになる。
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