夕陽



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「最後の言葉って、何?」


子供は母に問う。


「まぁ、すぐにわかるわよ。」

母は微笑んで言う。


「なら、あの刀は朝陽?」

子は近くに飾ってある刀を指差す。


「ええ。そうよ。将来はあなたもあの刀を振るって将軍様のお役に立つのよ。」


母はさらに優しげな顔で言う。


「うん。がんばるよ」


子供も笑う。


「ええ。期待してるわ。さぁ、お話の続き、しましょうか」


「まだ続くの?もういいよ、眠いから。双子のお母さんのいったことだけ教えて」


嫌そうな顔をして子供はいう。


「えぇ。お母さんはこういいました。
『あなたたちの刀は妖刀よ。あなたたち以外、刀を鞘から抜くことはできない。だからあなたたちが死んで、生まれ変わっても巡り巡って必ず妖刀はあなたたちの手元へ戻ってくる』
そう双子の兄に伝えたのよ」

「へぇ。よくわからないね。」


「ええ。よくわからなくてもいいの。さ、もう寝る時間よ」


「うん。お休み。」

「おやすみなさい」


母は優しく子供の頭をなでた。


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