夕陽


・・・・・・・・・・・・・・・


刀を構える。
栄太郎と向き直る。



しかし突然、栄太郎は刀を見て、しゃべりだす。


「・・・智咲。この刀の意味。まだ思い出せないか?俺はこの刀を持った瞬間、理解できたが。」


「・・・?なんのこと?わかんない。それより・・・さっさとどいてよッ!総司さんが!!!」


刀を持ち直して栄太郎に切りかかる。


「ふぅ。何も思い出せないの・・?妹よ」


溜息をつく栄太郎。・・・どこか懐かしい声で、しゃべる。あと少しで思い出せるような。でもわからない。


「し!知らない!知らない知らない知らない!!いーからどいてよ!!」


ガキン!!!

刀がぶつかり合う金属音。




・・・記憶が、流れ込んでくる。





・・・・・・・・・・・・・



「にーさま!見てください!魚取れましたよ!2匹もいっぺんに!」


イワナを兄のほうへもって行く。
あれは・・・私?


「あっははは。もう私は4匹も取れているぞ妹よ!」


網を一緒にイワナを見せびらかす人。
・・・栄太郎?


「うーー。卑怯ーー!!」


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