夕陽



どんどん私の知らない記憶が。
私の腕から脳へと伝わってくる。
知らない知らない私じゃない。知らない誰かの、記憶・・・。でもどこか懐かしい。





「・・・思い出した?」



「し、らない・・・。私じゃない・・・。そしたら、誰?男の人は?女の人は?
顔は似てるけど・・・。違う、私じゃない。私じゃ・・・。」


刀の持つ手がカタカタと震える。


「あれが、僕と君の記憶。前世とでも言うべきかな?でも本当に会えるとは思ってなかったよ。」



「知らない!知らない!私じゃない。私は・・・・知らない!!!!!!」




私へと流れ込んでくる記憶が、途絶えた。





「うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



ガキン!キィィン!


気が狂ったかのようにどんどん栄太郎へと打ち込んでいく。栄太郎も、私に容赦はない。




お互い、死んで復活しての繰り返し。
疲労はない。死んだときに消えてしまう。




「うわぁぁあぁっ!あああ!ああぅ!」


「・・・残念だよ。悪運だったね。来世で逢えたは逢えたけど敵だったとは。もう昔に戻れないの?」


ガキン!ガッ!ガキィィィン!


金属音が、耳にこだまする。

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