夕陽



「離さないよ・・・。またお姉ちゃんが私の前からいなくくらいなら・・・またお姉ちゃんを殺すの。私も死ぬの。」


「何言ってるの!嫌だー!!!ていうか死ねないし!不老不死だし!」


「大丈夫だよ。楽に死ねるから。」



段々と力が強くなっていく。

華奢な体からこれほどの力が出るかと思えるほど。



「やめてください。智咲さんはあなたのものじゃありません。私のものです。」


総司が私からすぅちゃんをはがす。
助かった!

「いや!私のものなの」


「違うからね!私ものじゃないからね!」


「駄目。お姉ちゃんが他の人のものになるなんて考えられない。ずっと、一緒なの。一緒に死んで、ずっと一緒に永遠の世界に行くのよ。」



ゆっくりとすぅちゃんが、頭に巻いてある包帯を取っていく。



すぅちゃんの額には、鬼の刻印があった。


「なんで包帯なんかで刻印を隠してあるの?」


「刻印・・?そんな生易しいものじゃないよ、これは。」


「え・・?」




「第三の瞳。人を喰らう、瞳。おねえちゃんにもあるでしょ?」




ぴしり。刻印の中心に線が入り、ゆっくりと線が開いていき、赤い瞳が現れた。



「・・・そんなの、無いよ?」


第一、刻印は首筋と鎖骨の中心ぐらいにある。




「ちゃんと開ききってないんだよ。自分の力を制御できていない証拠。」



< 416 / 462 >

この作品をシェア

pagetop