夕陽
「離さないよ・・・。またお姉ちゃんが私の前からいなくくらいなら・・・またお姉ちゃんを殺すの。私も死ぬの。」
「何言ってるの!嫌だー!!!ていうか死ねないし!不老不死だし!」
「大丈夫だよ。楽に死ねるから。」
段々と力が強くなっていく。
華奢な体からこれほどの力が出るかと思えるほど。
「やめてください。智咲さんはあなたのものじゃありません。私のものです。」
総司が私からすぅちゃんをはがす。
助かった!
「いや!私のものなの」
「違うからね!私ものじゃないからね!」
「駄目。お姉ちゃんが他の人のものになるなんて考えられない。ずっと、一緒なの。一緒に死んで、ずっと一緒に永遠の世界に行くのよ。」
ゆっくりとすぅちゃんが、頭に巻いてある包帯を取っていく。
すぅちゃんの額には、鬼の刻印があった。
「なんで包帯なんかで刻印を隠してあるの?」
「刻印・・?そんな生易しいものじゃないよ、これは。」
「え・・?」
「第三の瞳。人を喰らう、瞳。おねえちゃんにもあるでしょ?」
ぴしり。刻印の中心に線が入り、ゆっくりと線が開いていき、赤い瞳が現れた。
「・・・そんなの、無いよ?」
第一、刻印は首筋と鎖骨の中心ぐらいにある。
「ちゃんと開ききってないんだよ。自分の力を制御できていない証拠。」