夕陽




「総司ィ、出かけよう!」


「もー。遅いですよ?」



今日は、山崎に着付けしてもらった着物を着て、出かける。



勿論、総司に買ってもらった着物で。




これまでかというほど甘味処巡りをした。


いろんな店に回った。




最後の思い出を作るかのように。




「・・・総司。最後に、行きたいところあるんだ。」


「いいですよ。」



私の足は、自然と森へと向かう。



坂を上り、木の間を通り抜け、丘へとたどり着く。


総司とは、一回しか来たことがない、でも私の中では、相当思い出深い場所。



初めて自分で綺麗な景色を発見したから。



「・・・前にも来ましたね。」


「うん。夕日が綺麗だった。」


総司と寄り添って京の町を一望する。


智咲の言葉に反応するように、太陽はゆっくりと沈み始める。




京の町は、たちまち夕陽に包み込まれる。



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