夕陽



「・・・ああ。綺麗だなぁ。」


「そうですねぇ。いつまででも、ここに来ましょうね。春はお花見に、夏は夕陽を見に、秋は紅葉狩りに、冬は雪景色を拝みに。」


「・・・うん・・・ゲホッガハッゲフッ・・・ハァ、ハッ・・」


「大丈夫ですか!?」


慌てて総司が私の背中をさする。


ああ、朝に咳しなかったから、今ここで一気に来たんだ。




「だ、いじょ・・・ゲホッガハッ」


「大丈夫じゃないですよ!」


「はぁ・・・、ハッ・・ゲホ、」



「屯所に、すぐに戻りましょう!」



「嫌、だぁ・・・。」


「駄目です!」


「駄目ぇ・・・、ゲホ、ガハッ」


「何を言ってるんですか!」



私の体は、屯所に着く前に力尽きてしまう。


それくらい、わかるんだ。それなら、この綺麗な風景とともに死んでいくほうが、マシだ・・・。



「見てよ・・ゲホッ、夕陽、がきれ・・・い」


「何を呑気な・・・ッ」







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