夕陽





沖田は智咲の亡骸を抱えて屯所にたどり着いた。



「おー、総司どうしたァ?智咲気絶でもしたのか?やけに表情が暗いぞ?」


廊下で逢った原田に殺意を覚える。それでも、智咲が死んだとはいえなかった。



確かに智咲さんの表情は、寝ているかのようにやすらかだったから。


寝ていると勘違いしても、おかしくはない。




「・・・。土方さん、いますか。」


「お?副長室にいるとおもうぞ?」


「ありがとうございます。」



ゆっくりとした足取りで、副長室に向かう。




「土方さん、いますか。」


「総司か。入れ」



ゆっくりと部屋に入って、智咲を土方の前で寝かせる。



「・・・どういう状況だ、これは。」


「智咲さんは新撰組のみんなが好きだ、といっていました。」


「そんなのを聞いてるんじゃない!!!」


「智咲さん、こんなに安らかな顔して眠っているんです。いつ起きるんでしょうか。」



ぱしん。



土方が沖田の頬を平手打ちする。



「智咲は・・・もう起きないことくらい、お前が一番よく知っているだろうが。」




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