夕陽



「知っていますよ。でも、どれだけ智咲さんの名を呼んでも、起きてくれません。」


「正気を保て。現実を受け入れろ。・・・明日、葬儀を行う。」



「・・・失礼しました。」



沖田は智咲を抱えて、部屋を出る。


また、原田と鉢合わせる。


「お、怒られたあとか?あんま怒鳴り声聞こえなかったけど」


「・・・原田さん。明日、智咲さんの葬儀を行います。」


「・・・は?」


原田は何がどういう風にこうなったのか、まったく意味がわかっていない。



「だから、明日」


「それは聞いた!なんで葬儀を行うんだ!」


「・・・私も、認めたくありませんよ」


「んでだよ?!今日の朝、あんなに元気に話しかけて・・・!」


「智咲さんなりの、最後の挨拶です。」


「・・・ッ畜生!!」



原田は智咲の顔を見て、苦しそうな顔をした。



カラン。



竹刀が、床に落ちる。


「・・・智咲?」


平助だ。






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