夕陽


・・・・・・・

「私ってわかるでしょうか?」

智咲は春に不安になって尋ねる。

「大丈夫どす。
前に比べてものすごく見違えましたから。
さ、土方はんに仕返しすんでしょ?
さっさといってきたらどうです。」

「うん、
いってくるね。」


・・・・・・・・・

智咲と一緒にいた女の人がいない。

そう感じた永倉は、もうやっちゃったか。
と、思い込んでいた。

まったく。最近の若者は手が早いねぇ。
そう思っているうちにふすまが開く。

「お、かえってきた・・・違う、
新しい子か。」

とても可愛い。
しばらくの間永倉はその子に見とれていた。


智咲・・・


大丈夫かな・・・

そう思いながらも、土方さんに近づく。
大丈夫!みんなこっちみてるけど、
まだ誰も気づいてない様子!!

土方さんのところへ強行突破!

「土方はん、
お酒をお酌させていただいても
よろしいどすか?」

ちょっと京弁が変になったが、
酔っている土方は気づかない。


「おぉ。いいぞ。
新人か?みねぇかおだな。
名はなんていう?」

土方が智咲にたずねる。

あ。
名前考えてなかった。
必死に頭をめぐらす。

< 75 / 462 >

この作品をシェア

pagetop