夕陽
「はい。新人でございます。
名は、お雪どす。」
「そうか。お雪か。
お雪、酌をしてくれ。」
いよっっし!
土方さんが気づいていない!!!
チャーンス!!
ずるっ
ばしゃーん
わざと手を滑らせて、
土方にお酒をかける。
「すんまへん!
新人なもんで!!」
近くにいた女子が智咲を押しのけ、
手拭でお酒のかかった部分を急いで拭く。
土方に相手をしてもらって、
うれしそうだ。
「お雪といったな。」
「は、はいっ!!」
「・・・誰かと似ている。」
・・・やばいかも。
「き、気のせいどす。
それで、誰に似ているっていわはるんです?」
「あぁ。うちの隊士でな。
さっきまでいたんだが・・・。」
「そ、そうですか!
可愛そうどす!
女子に似てるっていわれてはるんですから。」
一生懸命話をはぐらかす。
「そうか?
別にいいと思うけどな。
どっちかというと
女子になったほうが、
別嬪やと思うけどな。」
土方は酒を飲みながら、いう。
「そ、そうですか・・・」
顔が赤くなるのを感じた。