夕陽
「そろそろ着きますよ。」
沖田がしばらく歩いてからポツリという。
「本当っ?!!
どんなところなのかなぁ・・?」
「あんまり京と変わりませんよ。」
笑いながら沖田は言う。
「えぇぇ・・・。
楽しみにしてたのにぃ・・・」
しょんぼりとした感じで智咲は言う。
「ほら、着きましたよ。
ここからが大阪です。」
「・・・うわぁ。
あんま京と変わらないー。」
智咲は泣きそうになる思いをこらえながらいう。
「まぁまぁ。
そんなしょげないで。
楽しみましょうじゃないですか。」
「だよねっ!!
せっかく来たんだもん!
楽しまなきゃ!!
甘味処あるかなぁ?」
智咲と沖田は甘味処について語り合う。
「これこれ。
そんな話ばっかりしてないで、
さっさと歩かんか。」
芹沢さんに注意させることが何度か
あった。
「そこの者!
その道どかぬか!
我を誰と心得る!」
芹沢さんが大声を上げる。
ちょうど橋にわたろうとしたところ、
橋に力士たちがいて、通れないのだ。
「へっ。誰が
へっぽこ田舎侍なんぞに
道を譲ってやる?
そっちこそそこをどけ。
通れんではないか。」
この力士の言葉で近くにいた力士たちが刀を抜き始める。
「っち。
抵抗するか。
刀を抜け!
こやつらを静粛させてやるのだ!」
芹沢が叫ぶ。