微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)
【レッツコミュニケーション】
――翌朝。
いつもより早めにセットしておいたアラームの音で目を覚まし、制服に着替えると鞄を持って一階に下りる。
時計の針は、まだ6時を回ったばかりだ。
気持ち、忍び足で台所に近づき、中を覗くと……いた。
芳野さんはこちらに気付いていないようだ。
ゆっくりと深呼吸――
そして……
「おはよう、芳野さん! 爽やかな朝だね!」
爽やかな朝に相応しい、腹に渾身の力を込めた大きな声で挨拶をする。
「――っ!」
芳野さんはビクリと肩を震わせ、振り向く。
目を見開いて、驚いたような表情。
「……。おはようございます」
すぐに無表情に戻ってしまったが、表情を崩す事には成功した。
「うん。今日は卵焼き?」
彼女が持っているガラスのボールには、溶いた卵が入っているのが見える。