微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)
一瞬、家を間違えたかと思い、ドアを閉める。
キョロキョロと辺りを見回してみるが……
後ろには見慣れた木造の門と、池のある庭が広がっている。
5年前、父が他界してからこの家には俺と母しか暮らしていない。
たまにお手伝いさんが来ていたけど、つい最近辞めたはず。
おそるおそるドアを開け、中を覗き込む。
……いる。
黒髪をきっちりと結い上げた、歳は10代後半から20代前半位の若い女性。
見間違いでは無かった。
彼女は無表情のまま俺を見ている。
「ど……どちら様ですか?」
状況的に泥棒かと思ったが、それにしては堂々とし過ぎてる。
そしてなによりもその格好。
黒い長袖のロングワンピース、襟にはレースが施されており、白いエプロンを付けている。
つまり……一言で表せば、
「メイドさん……?」
みたいな格好をしている。