微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

「……。だし巻き卵です」

それだけ言って調理に戻る芳野さん。

つまり今日の朝食は卵焼き、と。

言い直す必要はあったのだろうか。


「芳野さん、いくつ? 彼氏いる? あ、もしかして結婚しているとか」

並べられた朝食をとりながら、お茶を入れてくれている彼女に思いつく限りの失礼な質問をしてみると……

「21です」

後二つの質問を軽くスルーしつつも、短く答えてくれる。

「彼氏いないんだ」

「いませんね。時間、大丈夫ですか?」

もしかして、質問攻めに動揺しているのだろうか。
堅苦しかった敬語が、少し崩れている。

「時間は大丈夫。どうして? モテそうだけど」

“モテそう”と言うのはお世辞が入っている。

昨日からの様子を見る限り、致命的な愛想の無さで人を遠ざけていそうだ。

「いえ。愛想が無いとよく言われます」

おお! 初めて会話らしい会話になっている。



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