微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

「ぼっちゃん、確か高校は柴高っすよね。やっぱ運転手とかいて、車で通ってるんすか?」

「いや、自転車……」

「マジで!? 結構、距離あるっすよね」

「馴れればそんなに……40分位。裏道とかあるし」

天候によっては稀にバスを利用する事もあるが、本数も少なく不便な為自転車で通学している。

「俺、てっきりお抱え運転手とかいると思ってたっす。車庫にスゲー車あったんで」

「あれは、母さんの車」

「へえー。スゲー……あ、すんませんタメ口で」

顎を突き出すように首を曲げ、軽く頭を下げる。


今更だろう……

むしろ、一応は気にしていたのかと驚く。

「タメ口でもいいですよ。あまり気にしないので」

「いや! けじめなんで!」

「……はあ」


「すんません」とか、語尾に「っす」とか付けちゃう癖に、妙なポリシーはあるらしい。

これでも敬語を使おうと、彼なりに頑張っているのかもしれない。
< 25 / 59 >

この作品をシェア

pagetop