微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)
渡された紙には確かに母の字で、
『お母さん、ちょっとの間留守にするけど甲太朗は高校生になったんだし大丈夫よね。
でも心配だから新しいお手伝いさん雇いました。
ちゃんと言う事聞いて良い子にするのよ。
――母より』
……。
鞄から携帯を取り出し、母の番号へかけるとすぐに通じた。
「ちょっと母さん!? 今どこだよ!」
「え? 空港だけど」
電話越しに脳天気な母の声。
「どういうつもりだよ! あのメイ……お手伝いさん何!? 聞いてないんだけど!」
「ごめん、ちょっと聞こえない……あ、もう飛行機出ちゃう! じゃあ、あっちに着いたらまた連絡するわね」
「母さ……」
ぷつり、と通話が切れる。
母の言う“ちょっとの間”は2、3日だったためしが無い。