微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

家の門を開け、芳野さんを出迎える。


「石和田は、現場の仕事が急遽入りまして……」

「そう……今日は、スーツなんだ」

色は黒で、膝丈スカートのOLさんが着ていそうなデザインのスーツを着た芳野さん。

何だか新鮮だ。


「芳野さん、夕方来るんでしょ? その時でもよかったのに」

祝日の今日、芳野さんは夕方に来る事になっている。

「それは……」

「すみません。自転車、どこに置けばよろしいですか?」

芳野さんの声を遮り、門前に停めてある車から出て来た男性に声を掛けられる。

多分、新貝サービスのスタッフだ。

眼鏡を掛けた、歳は20代中盤位の男性。

彼も黒いスーツを着ていて、昨日石和田さんに持って行ってもらった自転車を手でひいている。

「あ……そこに置いてもらえば、自分で運びます」

「そうですか。わたしは新貝サービスの早瀬と申します」

……と、名刺を渡される。

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