微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

何か、しっかりした人だな……。

芳野さんと石和田さん、二人と初めて会った時の事を思い出し、つい、比べてしまう。

確か石和田さんは、「新貝サービス、石和田っす!」と、元気いっぱい、自己紹介してくれた。

芳野さんは……

自分の名前すら、名乗らなかったな……そういえば。


「自転車が無いと、不便かと思いまして。……それで」

ちらり、と、早瀬さんは芳野さんに目配せする。

何だろう……

芳野さんは心なしか緊張した面持ちで、俺に向き直り――

「……。ぼっちゃん、わたしはこれで……夕方、参ります」

「う、うん……」

芳野さんは俺に一礼し、車に戻って行く。

芳野さんが車に乗ったのを確認し、早瀬さんは切り出した。

「石和田と芳野は……何か失礼をしておりませんか?」

「え……? いえ、特には……」

畏まった様子に気圧されつつも、否定する。

「そう、ですか……いえ。二人の教育を任さているもので」

「……。はあ……」

芳野さんと、石和田さんを教育……

あの、個性的な二人を……

色々……大変そうだ。
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