微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)
俺が母の立場だったら、即日が無理でも前と同じ会社で、出来れば同じスタッフを雇う。
見ず知らずの他人を自分の留守中に家に入れるなんて、母は警戒心に欠けていると言うか……
自分の親ながら、何とも複雑な気分になる。
それを言うと……
「だって家には甲太朗がいるから大丈夫でしょ?」
「……はあ」
思わず、ため息が漏れる。
俺が心配で、お手伝いさんを雇ったと手紙に書いてあった気がするんだけど……
あんた俺の保護者だという自覚あるのか、と言いたくなる。
無いんだろうな……
俺も、母親に甘えるような年じゃないけど。
だけど、そのお陰で芳野さん達と出会えた訳だし、結果オーライ、と無理矢理納得しておこう……
「でも甲太朗、元気そうでよかったわ」
元気……じゃない。
風邪引いてるし……
母さんが、気づくはずないけど。
「……。母さんは、まだ帰って来る気無いの?」
「……うん」
声が暗く、どこか陰りがあるように感じる。
もしかして、例の男と何かあったのだろうか。