微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

酔った父が自宅に招いた部下に自慢げに女性遍歴を話しているのも聞いた事がある。

その夜、一階から母の叫び声にも似た怒声と父の声、物が壊れる音をベッドにくるまり震えながら聞いていた。

翌朝、何事もなかったかのように笑顔で父と俺を送り出す母を不気味だと思ったし、父の不実を責める気持ち以上に、怖い、と思った。

それを思えば、ある意味今の母の方が人間らしいというか……。

表向きは良き妻であり良き母であろうと無理をしていた、あの時の母よりは裏表が無い分好きかもしれない。


……でも、あのメイドはない。

単純に「家に帰ったらメイドさんが! やったー」とか思えない。

いや、母の趣旨はそういう事じゃないとは思うけど!


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