水晶玉は恋模様
香奈枝はしばらくの間、水晶玉に手を置き、ぶつぶつ呟いていた。
そのうち、その呟きは『見えるぞ……』という満足げな言葉に変わった。
私は居心地が悪くなり、椅子の上でもぞもぞと体を動かした。

「ふむ。悲劇の少女ね……」

まるで映画を見ていたかのように、香奈枝が呟く。

「悪いけど、あの2人の絆は固い。破るのは大変だよ。無理に近い。」

香奈枝は急に水晶玉から離れると、そう言った。
私は苦笑いして誤魔化そうとしたけれど、心が重くなるのが分かった。
そんなに好きになっていたなんて……。

「その代わり、あんたの運命の人間が近く現れるよ」

香奈枝はにっこり笑った。
私はそれを見ても嬉しい気持ちになることは無かった。

結局その短い占いは終了した。
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