水晶玉は恋模様
「もうっ、何うじうじしてるの!」

望が珍しく声を張り上げた。
大人しそうな眼鏡の奥に、きらきらした瞳が光る。

「牡丹、いっつも明るいじゃん。それなのに、
何でそんな恋ごときに悩んでるわけ?」

望は言い出したらとまらない性格なので、
私は望が息を整える間も黙っていた。

「牡丹らしくないよ!今まで『悲劇の少女』って呼ばれても
それでも明るく頑張ってきたじゃん!
占いごときに振り回されて、おかしいよ!」

私は黙って望の顔を見つめていた。
言い過ぎたと思ったのか、望はそのまま頭を下げた。

「……ゴメン。」

私はにっこり笑った。
望に大切な物を教えてもらった気がしたから。

「ううん、こっちこそ。ありがと。」

今日から、私は高沢に猛烈アタックする事にした。
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