水晶玉は恋模様
その少しの間が気になったけど、
もう此処まで来たら後には引けない。
私はさらにアタックした。

「お弁当、作っていってあげよっか?
おなか、空くでしょ。」

そして高沢の瞳を見上げる。
お願い……いいよ、って言って。



「それは……いらないよ。

   あのさ、俺、彼女居るんだ。

        付きまとわないでくんない?」


一歩一歩、確かめるような高沢の言葉。
それは私の胸深くに突き刺さった。

「……ってたよ……。」
「え?」
「知ってたよ!」

私は廊下で叫ぶと、高沢を残して走り出した。
廊下に居た全員がこっちを見たけど、それも気にならなかった。


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