水晶玉は恋模様
「う……うん。」

私はまた涙ぐんで、
それでもこっちを見つめる圭子が、
とってもとっても大きく見えて。
どうすればいいか分からなかった。

「さっ。いつまでも泣いてるなんて、
何か牡丹らしくないよっ!」

圭子が私の手を引っ張る。
私はその手を握り返した。
それくらいしか出来なかったけど、
十分私が元気を取り戻した事は、
しっかり圭子に伝わっていた。


教室では苛々した様子の望が待っていた。
望は私の顔を見るなりこっちに走ってきて、
何も聞く前に質問攻めにした。
『何?どうした?』とか『殴られた?』とか。
望はいつもクールだけど、
本当は心配性なんだったなぁ。
私は涙を拭いて、にっこり笑って見せた。
涙が完全に消えてしまえば、
もういつも通りの3人だった。
窓辺に腰を下ろして外を見ていると、
急に圭子が黄色い声を上げた。
< 24 / 27 >

この作品をシェア

pagetop