水晶玉は恋模様
「きゃーっ!浅岡くぅうん!」

グラウンドでサッカーをしている男子達のうちの、
1人の男の子に向かって猛烈に手をふる。
もちろん本人は気付いていないけど。

「このごろ牡丹ばっかり恋しててさぁ、
私もしたくなっちゃったのよねぇ♪」

そんな事言いながら私に向けてある『申込用紙』を
ヒラヒラさせた。

「あたし、サッカー部のマネージャーになる!」

圭子はその紙を胸の前に抱いて、
夢見心地の口調になった。
望がとなりで大あくびをする。

「まだそんな事言ってんの~?
マネージャーはきついぞ。」

そういう望は一年生の頃、
先輩に勧められるがままにテニス部のマネージャーになった。
けれどそれが運の尽きと言うもので、
それから毎日、望は苦労の連続だったようだ。
< 25 / 27 >

この作品をシェア

pagetop