水晶玉は恋模様
「あたしはいいのっ!愛の力があるから♪」

圭子は完全に自分の世界に入っている。
私は少し目を伏せた。
圭子、最近すっごく恋愛に積極的だなぁ……。
実は、私と圭子が親友になったのは恋の話題からだった。


中2の頃、自分で言うのも変なくらいモテていた私は、
恋に関してあまり悩んだ事がなかった。
でもある日、ゴミ箱に捨てられた1通のラブレターを拾った。
気持ちのこもった丁寧な字で書かれていて、
いつから好きだったとか、思いの丈とかが書かれていた。
そして、その送り主が圭子だった。
ラブレターは途中まで書いたあたりで破り捨てられていたけど、
私はこの恋を猛烈に応援したくなったのだった。

「あなた、圭子ちゃんでしょ?」

同じクラスなのに、
会話することも1ヶ月に1度くらいの仲だった私と圭子。
私は放課後圭子を呼び出して、ラブレターを拾った事を伝えた。
それを聞くと、圭子はウインナーみたいに真っ赤になって、
何故か敬語で『ごめんなさい』と言ったものだ。
それから私は、圭子の恋を必死で応援した。
圭子の恋が実ったとき、私の2度目の『悲劇の恋』が終わったのだった。
それから私と圭子は、とても固い絆で結ばれているのだ。
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