fushin
優が帰った後家の中が一気に暗くなった。
優に言われた事を一人になると尚更考える。
俺はどうしたいんだ?やっぱり逃げているだけなのか?
あいつが死んでから俺はあの時の事考えないようにしてた・・・
『死んだ』と連絡をもらった時?
誰からだ?
俺は誰から聞いたんだ?
あまりに驚いたからかパニックだったのか、改めて考えるとよく覚えてない。
自分に嫌なことがあると忘れるってやつか?
頭が混乱する。
こんな時程冷静にならないといけないだろ。
そういえば俺の携帯どこだ?
元々携帯が嫌いであまり持ち歩かない、あいつが死んでから携帯をいじった覚えがない。

「探すか。」

カバン、机の上、引き出し、ベットの下

「くっそ!どこだ!」

苛ついてくる。
クローゼットを開けて服のポケットを見ていく。

「あった!」

カチャ

携帯を開いたけど電源が入るわけがない充電器にさして泥棒にあったかのような部屋を片し始めた。
すぐ携帯をみようかとも思ったが・・・
怖い。
あいつとの思い出が入っている。
俺見ても大丈夫か?
なんだか不安がつのる。
部屋を片してる間見るか?見ないか?の質問の繰り返し。
もしかしたら三ヶ月も放置してる携帯ぶっ壊れてるかもな。
グルグルと頭の中が整理つかないまま部屋はいつも以上に綺麗に片し終わった。
逃げても仕方ない携帯を手に取り電源を入れてみた。

静かな部屋に起動音が響いた。


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