虹色パレット
触れたくて、触れたくて。
我慢の限界かもしれない。

震える手が蒼空の手を掴む。


「こんな…こと、しないで…」



「…嫌だ」



「あたしは嫌です」



手を離そうとする蒼空。

俺は、力強く握っていたから、そう簡単に離せない。


「……期待しますよ?」



「………あぁ」



期待でも、何でもいい。
お前がいなくならないのなら。

俺を嫌わないでくれ。


「笹河さん…」


俺に寄り掛かって、涙を流した。

俺もそっと、蒼空の頭を撫でながら、離さないように優しく抱きしめた。


「好きです」



「うん」



たったそれだけしか言えない俺。

お前は、嬉しそうに微笑んだ。



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