虹色パレット
俺達は焦りすぎていたのかもしれない。


蒼空は、ずっと苦しかったかもしれない。

俺は次の恋に進んでいたから、あまり苦しくはなかった。


でも、蒼空はずっと想っていてくれた。

ずっと、ずっと。

あの別れで、前に進んでいた気がしていたのに。


俺達は、立ち止まっていた。


「蒼空、俺さ…」


言いかけたとき、蒼空が背伸びをしてキスをしてきた。

触れるだけのキス。


「…笹河さんの馬鹿」


二度目のキス。

俺は何を考えていたんだろう。


蒼空を強く抱きしめて、唇を奪った。

息ができないほど、舌を絡めて。


そして、ソファーに押し倒した。


見つめ合いながら、キスを続けた。


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