虹色パレット
沈黙が続く。

向こう側で、きっと困った顔をしているだろう。


「俺、彼女が…」



『待ってください』



絞り出すように言った。

震えている気がした。


『…会って話しませんか?』



「そ、それも…無理だ」



『彼女さんがいるからダメなんですか?』



「空…」



『伝えたいことがあるんです』



俺がお前の心を変えてしまったんだ。

そう気づくのには遅すぎて。

俺の服の裾を掴んで、俯く蒼空の頭を撫でた。


大丈夫。

俺はもう、揺るがない。


お前が好きだ。


誰にも渡したくない。


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