虹色パレット
「どういうことだ?」


「どういう…って?」


「空とどうやって出会った?」


「あぁ。つい最近、泣いてた空ちゃん見つけてー、悩み事聞いてー……どしたの?」


泣いてた?

悩み事?


「空とは…本気か?」



「当たり前じゃあん」



「本当だな?」



「あぁ。教師やめて、別の仕事にでもなるし」



紀一は俺の肩を叩いて、語り始めた。

出会って5分で仲良くなったとか、信頼されてるとか、どうでもいいことばかり。



「…なぁ。空、大事にしてやってくれよ」



「わかってる。慶も大事にしろよっ」



「あぁ。じゃ…」



「あっ、待って!」



紀一は涙目になりながら、俺にしがみついてきた。


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