虹色パレット
仕方なく追いかけて、扉の前で立っていると紀一の泣き声が聞こえてきた。


「俺、恥ずかしい!」


「今更か」



俺は、お前と歩いてるだけで恥ずかしかった。

つか、こいつにも恥があったのか。


扉を開けて、入ってみれば紀一が俺の枕にしがみついて泣いていた。


「おい、汚れる」


「…蒼空ちゃんの匂いがする」


「寝てたからな」



「寝た!?まさか……やらしいわぁぁ」



あー、もう何なんだよ。
こいつ、何がしたいんだよ。

面倒なやつだ。


「ねっ、慶ちゃん…」


「何だ」


「蒼空ちゃん、泣いてなかった?」



「は?」



「枕、ちょっと濡れてない?」



「お前のだろ」



「いや、俺、こっちの枕…」



…確かに、お前が使った枕はぐっしょりしてる。捨てないとな。


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