虹色パレット
もうひとつの枕は、しっとりと濡れていた。

…泣いてた?
何故?

泣かせるようなこと…したっけか?


ふと朝を思い出した。


帰れって冷たく言ったんだっけか。


「あー……」


ベッドにドスンと倒れ込むと、紀一が心配そうに見てきた。

そうだよな。

俺、朝あんなこと言ったんだもんな。


でも、さっきあんなにはしゃいでたんだ…。

もう忘れてるかもだろ?



「隠してるだけだったりして」



急いで起き上がって、リビングに戻った。

蒼空の腕をつかんで、キッチンに連れていって謝ることにした。


「悪かった」


「は?」


「朝…あんなこと言ったから」


「いやいや、は?」



は?



何なんだ、コイツみたいな目で見てくる蒼空。


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