虹色パレット
蒼空はガチャリと受話器を置いた。



沈黙。



「さぁてと、組長。ちょっと上でパソコンでゲームしよっか」



「あ、はい」



紀一が気を遣って、俺達をふたりきりにしてくれた。



何を話していいんだ。



「笹河さん…」



「帰らないよな?」



「へ?」



「…帰るなよ」



抱きしめた。
強く、強く。

行かないでくれ。



俺はお前しか…。



「…笹河さん、あたしね…」



「結婚なんか、俺としろよ」



「さ…笹…河さん…っ」



どうして、こんなに苦しいんだ。


どうして、涙が溢れるんだ。


どうして、お前は悲しそうにしてるんだ。


どうして、行かないって言わないんだよ。


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