虹色パレット
離さないって決めたはずなのに。



『笹河さんはガキですよね』



あいつの言う通り、俺はいつまで経ってもガキだった。


悔しさと悲しさが混じりながら、阿波のいるビルに向かった。


……こんなとこで、私情は禁止だよな。


蒼空の記憶を振り払って、ビルの中に入った。


俺が今、やるべきことは…。


阿波を倒すことだけ。


懐に隠してある…使いたくはないが、一応持ってきた拳銃。


これを使わないことを祈るしかない。



「おい、誰だ、てめぇ」



「あ?てめぇらの親玉が知ってるよ」



さぁて、派手に喧嘩しちまおうか。


全員、無事に帰らせねぇからな。



何となく、ポケットの中のナイフをギュッと握りしめた。



< 229 / 400 >

この作品をシェア

pagetop