虹色パレット
組長が急いで帰ろうと俺の手を引っ張る。

…帰っちゃいけないんだよなぁ。


仕方なく、組長に本当のことを話した。


阿波のことや、盗聴器のこと、俺の…親のこと。


すべてを知っておいて欲しかった。


「組長、申し訳ありませんでした」


土下座をしたかったが、座れないほど背中の痛みが酷くなっていた。


だから、頭を深々と下げた。



「笹河さん、大丈夫ですか……その背中…」



「え、あ…」



「血っ、血がっ!」



傷口開いちまった。

阿波が俺をベッドに戻した。

うっ……。
やっぱ、いてぇ。


組長と紀一が、心配そうに俺を見ていた。


死ぬわけにはいかねぇんだよ。


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