虹色パレット
「服用意しろよ」



「お前っ!」



「誰かさんに切られたり?誰かさんに背中撃たれて?ボロボロで血だらけだし?」



「くっ…」



スーツ用意しろよ。

あ、あとコートもな。


何色がいいかなぁ。

ダークスーツと、コートは……そうだな、白でいいかな?



「ほれ、さっさと行け」



阿波が出ていくと、組長が俺の背中に抱き着いた。



「笹河さん…さ、さ…うっ……っ」



「すみません…組長」



泣かせてしまった。

組長の手が、肩が…震えてる。


俺に何ができる?


何が言える?



「ご、ごめ…なさ……」



「組長。すみませんでした」



抱きしめる。

ギュッと強く抱きしめた。

泣かないでください。


そんなことも言えずに、俺は強く抱きしめることしかできない。


涙を拭いてあげると、ふわりと微笑んだ。


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