虹色パレット
部屋を出ると、力が抜けた。
震えていることを美月に知られたくなくて、ギュッと服を握った。



「慶」



「お前と京都の皆と組長とアニキ達が俺の家族だろ?」



「あぁ。お前は、大切な家族だ」



涙目になりながら、俺の目をしっかりと見つめてきた。



「なぁに泣いてんだよ」



「ば、馬鹿か!あたしが泣くわけがない!」



急いで目をゴシゴシと腕で拭いて、どんどん先へと歩いていく。



「おーい、泣くなよ!」



「泣いてない!」



「嘘つくなよー」



美月を追いかけた。



…泣いてくれて、ありがとな。


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