虹色パレット
「…俺は…」



昔は神様、仏様に感謝しなさいとお茶屋の姉さん達が言ってたな。



…結局叶わないじゃないか。
どんなに願っても、叶わないなら願う分だけ無駄だ。



「俺…」



でも。

いつも心の中に隠しておいた、願い事。



「もう誰も失わないように…」



俺の前から消えないでほしい。

子供の頃からずっと俺は願っていたのかもしれない。


組長と紀一が俺の腕に絡みついて、笑った。



「離しませんよ」



「俺もっ。嫌がっても離さない」



やっとその願いを叶えてくれる奴が現れた。


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