虹色パレット
しばらく、歩き回っているとまたあの発狂女がいた。

そして、俺の腕をつかんだ。



「何だよ」



「…いい仕事あるんだけど」



いい仕事?

怪しいな。


シカトしようにも、女は離さない。



「断る」



「…本当にいい話よ」



しつけぇ。

どんなに金儲けできても、どんなに自由に動けてもやらねぇ。



「新しい人生、踏み出しなさいよ!」



「何なんだよ、お前は!」



「あたしは…」




賑やかだったのに、俺達の周りだけは静かになった気がした。


何も聞こえない。


頭の中が真っ白になった。



< 288 / 400 >

この作品をシェア

pagetop